スイーツデコ☆で笑顔に! 鈴山キナコ×辻口博啓

今、粘土でミニチュアお菓子を作る手芸が人気です。“スイーツデコ”としてこの新ジャンルを切り拓いたのが鈴山キナコさん。2カ月ごとに本を出版し、“カワイイ”の世界を発信し続けています。辻口シェフと共鳴しあうのは、独自のスタイルを生む感性と、ケタはずれのど根性。対談では小説家としての顔、漫画家修行時代、20歳年下のだんなさまの話まで、くるくるとキナコワールドが展開します。

文 橋本紀子 撮影 中本浩平

トラック野郎の“デコトラ”が好きだった

キナコさんが辻口シェフに贈ったのは樹脂粘土で作ったクッキーチャーム。よく見るとhironobuの文字がいっぱい!

鈴山:今日はお会いできて光栄です。辻口さんは私にとって神様のような存在なんです。プレゼントを持ってきましたので受け取ってください。

辻口:(箱を開けて)わっ、かわいいな。あっ、クッキーにhironobuと僕の名前が入っている。おしゃれだな~。ありがとうございます!このクッキーって、どうやって作っているんですか。

鈴山:樹脂粘土に本物の紅茶の葉を混ぜて、平たくしてクッキーの型で抜いています。色付けはアクリル絵の具で。焼き色はステンシルブラシで、ぽんぽんと。マーマレードジャムはスーパーXというセメダインを使っていて、オレンジの皮の表現は荷造りテープを細く切って入れています。

辻口:リアルだなぁ。そもそも粘土でお菓子を作ろうと思ったきっかけは。

鈴山:子供の頃からデコが好きだったんです。私は昭和37年生まれで、当時デコ材料で売っているのはスパンコールくらい。それでも小学生のときには地味なラジカセや家電にスパンコールをびっしりボンドで貼っていました。その頃トラック野郎が人気で、トラックにデコレーションする“デコトラ”が大好きだったんですよ。

辻口:あはは、自分が一番星だ!みたいな。

鈴山:そんな感じです(笑)。食品サンプルも好きで、表札に使ったりしてました。今のように粘土でミニチュアスイーツを作りだしたのは5年ほど前で、「こういう本があったらいいな」と思って出版社に持ち込んで回りました。

辻口:出版社もどんなものかわからないわけでしょう。反応はどうでしたか。

鈴山:こんなもの誰が読むんだ、売れるわけないと言われました。最初の本を出版できたのが2年前。今では世の中にミニチュアスイーツ系の本が30冊以上出てまして、ブームの先駆けとなりました。中高生から中高年まで読者は広く、首都圏中心の人気でしたが、ようやく最近では新しい読者が北のほうから増えてきました(笑)。

辻口:数珠つながりのようにキナコファンが広がっているんですね。

鈴山:広がっていると思います。おととしあたりは一時的な流行と言われていましたが、今はもう手芸の1ジャンルとして完全に定着しています。昨年は2カ月に1冊がんがん本を出して、マニアックな分野をメジャーにしようと必死にやってきました。

辻口:それじゃあ、新しいテクニックを次々に生み出しているわけですか。

鈴山:はい、どんどん新しいものを出さないと飽きられちゃいますから。毎日、粘土で作るお菓子のレシピを考えています。身近で、意外な道具はないだろうかと100円ショップやホームセンターなんかを徘徊していますね。

小説家からイソフラボンパワーで転身

辻口:キナコさんに会うのは今日が2回目で、昨年「ネットスクールN-Academy」の記者発表のとき初めてお会いしましたね。あのとき全身お菓子で一番目立っていましたよ。存在をアピールするのがなんて上手なんだろうと思いました。

鈴山:わっ、うれしいです。

辻口:でも、変になっちゃったとか思われません?こういうお菓子の帽子をかぶって外を歩いていたら。

鈴山:あのー…外は歩きません(笑)。メディアに出るときはいつもかぶっていますが。絵として面白いので、テレビに出るときでもカットされないので。

辻口:名前は本名なんですか。

鈴山:いえ、粘土でお菓子を作るときの作家名です。いつまでも若々しくいたいな、と。女性ホルモンに近い働きをする大豆イソフラボンは若々しさの原点。みんなに「あの人みたいになりたい」と思われる存在になれるよう、イソフラボンたっぷりのキナコを名前につけました。

辻口:粘土ではいろいろ作れると思うけど、なぜスイーツをやろうと。

見ている人をハッピーにしてしまうミニチュアスイーツ満載の帽子。ひとつひとつの小さなお菓子は豊かに色や質感を表現しています。

鈴山:辻口さんの「スーパースイーツ」のモットーは笑顔とありましたが、私もそう思っていて。今、大変な世の中で、生きていてつらくなることがたくさんある。みんな、生きる痛みをまぎらわせるもの、緩和させるものをいろんなジャンルから追い求めています。性別、年齢、国籍のへだてなくみんなが好きで、みんなが求めているのはお菓子。このハッピーの象徴のようなモチーフで表現をしたい。これまでマンガを描いたり、小説を書いたり、いろいろやってきましたが…。

辻口:えっ、キナコさんは小説を書くんですか。

鈴山:はい、小説は末永直海の名前で書いています。13年前にデビューして、蓮如賞をいただきました。文化庁から芥川龍之介とかと一緒に優れた日本文学として選出され、世界でも私の本が翻訳されているんです。でも評価ばっかりされて、さっぱり売れない。今はこっちの粘土作家で食べています。

辻口:小説書いてた頃の反動が出て、もっとわかりやすい表現に向かった…。

鈴山:それはあると思いますね。一気に方向転換しました。

辻口:好きなことをやってやろうと。洋服もカラフルなものが多いんですか。

鈴山:ピンクや花柄が好きです。小説書いているときはこんなお菓子の帽子はかぶれませんからね(笑)。隠していた自分を今100%全開しています。

みんなで学ぶネットスクール「N-Academy」


各分野のパイオニアである講師陣から、インターネット上で指導が受けられるネットスクール。
辻口シェフの「SUPER SWEETS SCHOOL」や、Mr.マリックさんの「マジシャン養成スクール」、メイク、ゴルフなどジャンルも多彩。
鈴山キナコさんの 「スイーツデコ講座」では、趣味としてだけではなく、認定インストラクターの育成も。無料で学べる入門講座では「アイスクリームの作り方」を受講できます。
http://n-academy.jp/