日本の食文化を海外に伝える 楠本修二郎×辻口博啓

東日本の食材や料理を海外に伝える取り組み

辻口: クール・ジャパンのプロジェクトでは、被災地の食の復興をめざした展開もされていますよね。

楠本: 僕が仲間と一緒にやっている「東の食の会」を通じて、東北を中心とした日本の多様な食材や料理を紹介しています。実際に購入できるように、ウエブサイト「VIVA JAPAN」のなかで、クール・ジャパンのオンラインショップをオープンしました。

辻口: シンガポールの人たちの反応はどうですか。

楠本: 日本を応援したいというムードはすごく高いし、そんなに不安視しているわけでもない。復興イベントにベイエリアの素晴らしい会場を無償で貸してくれるなど、すごくフレンドリーな感じもあります。ただ原発の問題だけは正しく情報が伝わっていないので、東北の食材は加工品などを除いて、まだ敬遠されたままです。ほとんどの国で、日本の食材の対前年比輸出は100%近くに戻ってきていますが、東北はシャットアウトされています。

辻口: そこだけは除かれてしまう。

楠本: シンガポール政府にうちの駐在員がいろいろかけあっていますが、他国が受け入れていないのを見ながらその動きに追随していて。しっかり目線をあわせ、放射線の検査体制がとれていることなどを説明し続けていかなれければいけません。東南アジアの先端を走っているシンガポールが輸出解除をしたとなれば、逆に他国がそこに追随してくる可能性が見えてきます。その仕掛けを今やっているところです。

辻口: 東北の食材のおいしさを伝えるとともに、その安全性をどう伝えるかですね。

楠本: 昨年11月30日に、「東の食の会」として仙台で産業サミットを開催しました。3.11が多くのものが失われた日であれば、それを逆さまにした11.30には希望が湧くことをやろうと。IAEA(国際原子力機関)の顧問だったジエームス・スミスさんが東の食の会の顧問をしていまして、簡易放射能検査の手順(プロトコル)の発表を行いました。ようやくここまで来た、という感じです。先週久しぶりに被災地をあちこちまわりましたが、生産者たちが積極的に自分たちで検査をしている。「東の食の会」を立ち上げたときから一朝一夕でやれるものではないと思っていましたが、今その思いを強くしています。

辻口: 私も今、日本各地の地方自治体と協力して、スイーツで町おこしを行うプロジェクトを複数進めています。特に放射線や風評被害の問題は切実で、いかに安全をアピールして、人を呼び込むことはどこも苦労されていますね。時間はかかるかもしれませんが、私たちにできることは、食を通じてコミュニケーションをつなげていくこと。着実に行っていきたいですね。
今日はお話を伺えてよかったです。これからもご一緒に何かコラボレーションできればと思います!

楠本: こちらこそ。辻口さんのお力を借りたいことがたくさんあります。

辻口: 僕でよければぜひ。ありがとうございました。

VIVA JAPAN CAFE

シンガポールのオーチャードエリアに位置するショッピングスポット「ION ORCHARD」の最上階56階にて期間限定オープン中の、日本の食・日本のプロダクトの素晴らしさを伝えるカフェ・ラウンジ。日本からシェフを招聘したイベント「セレブリティ・シェフズテーブル」も実施しており、3月3日には辻口シェフが登壇予定。

オープン期間: 2011年12月16日〜2012年3月31日
住所: 2 Orchard Turn ION Orchard Level 56F, Singapore 238801, Singapore
営業時間: 10:00~22:00(LO 21:00)
tel: +65 6636 5156
Web: http://www.viva-jp-cafe.com/

楠本修二郎 プロフィール

カフェ・カンパニー株式会社 代表取締役社長
。2001年、 カフェ・カンパニー創業。「WIRED CAFE」「Planet3rd」「食堂居酒屋 どいちゃん」「246CAFE<>BOOK」「A971」「OCEANS BURGER INN」「CENT QUATRE VINGTS」など多様なブランドを展開。カフェの運営、設計デザイン、都市開発コンサルティング、地域活性化事業、サービスエリア事業、音楽レーベル、ワークウエアブランド「PLAY WORK」などを手がけている。
http://www.cafecompany.co.jp/